フリーアドレスの弊害
今の職場では、フリーアドレス(フリアド)制が採用されています。
フリアドとは、オフィスにおいて社員個々人の固定席は設けておらず(今の職場では、一部、業務効率上、特定部署あるいは偉いさん方は専用の部屋や席があります。)その日その日で、オフィス内のどこの席について仕事をしても良いという事になっています。
端的に言えば、従来の「固定席」が「自由席」になったという事です。
各々荷物は与えられたロッカーで管理します。
このフリアド制を採用している企業にお勤めの人も多いと思います。
企業側の狙いとしては、自由席にする事で部署を超えた社員の交流を促し、情報の流動性を高めてビジネス効率化・あるいは新しいビジネスアイデアの創造性を高める。といったところでしょうか。一言すると「活性化」を期待しているのでしょうか。
そんなフリアド開始から1年ほど経ったうえで自分が思うフリアドの弊害について触れたいと思います。あくまで自分の主観ですので悪しからず。
弊害その1.結局は固定席化する傾向あり。
もちろん部署毎にカラーはあるので、スタイルの違いはあります。
しかし、ある程度時間が経過すると、結局だいたいの人は同じエリアにいます。
極論、毎日全く同じ席に陣取る方は割といるように思います。
もう、まるでその席は固定席のような雰囲気が出ています。笑
これでは「活性化」にはなりませんね。
蛇足ですが、ある大手企業では、毎日出社するとシステムがランダムに、その日の席を指定して強制的に社員席次がシャッフルされると聞いた事があります。固定席・自由席ならぬ「指定席」制なのでこの場合「フリアド」と果たして呼べるのかな?
実際に導入された環境での経験談を聞いてみたいです。
弊害その2.同じ部署の社員がどこにいるのか分からない。
これも部署のスタイルでしょうか。もう本当にバラバラと点在しています。
今日はAさんはどこに座っているのか、わざわざ内線で「今日はどこ?」って聞いて探します。
一応、部署はチームですから、やはりある程度のFace to Faceのコニュニケーションは必要だと自分は思うのですが。フリアドゆえの余計な手間も発生しているように感じます。これは本当に効率化の流れでしょうか。
弊害その3.逆に希薄になる人間関係
誤解を恐れずに言うならば、フリアドによって孤立している社員がいます。
一匹狼タイプ(周りから嫌煙されがちな人、でも数字は上げる人)にその傾向があると思います。同じ部署の人とは一線を画していつも別々に位置しています。無論、対面した会話は皆無だと感じます。メールやチャットが主なツールだと思います。
ちょっと、ギスギスした雰囲気の部署って(具体的に言うと、中堅くらいの社員同士または上司・部下間が不仲である)ありますよね。
そうすると、下が育たない。若手が辞めていく傾向があります。一匹狼さんは、仕事を下に振りません。全部自分で抱え込むのです。「この商売はこの人しか分からない」状態にするのです。このような部署は、ますます人間関係が希薄になると思うのです。
フリアドは物理的に部署間の距離を縮める制度だと思いますが、もっと大事なのは心理的距離を縮める事だと思うのです。
例えば、「さあ明日からフリアドです。」となった途端に、自分から積極的に他の部署のメンバーに声をかけて話をするようになるでしょうか。間違いなく、一つの「きっかけ」にはなると思いますが、イコール活性化ではないように思います。
固定席であっても、積極的にコニュニケーションを取る人は社内通で顔が広いものです。
フリアドのメリット
本タイトルは「弊害」と題しましたが、もちろん良い点があると思います。
自分のスタイルは、おおよそ同じエリア(=自分の部署メンバーがある程度固まっているため)に陣取りますが、席から声をかけるには遠い距離感、でも目視で在席・離席が容易に確認できる位置の範囲内で、毎日席を変えています。会社に出る日は朝早いので場所は選び放題です。一方で作業や考え事に集中したい日は、カフェ的に少しカジュアルな感じのエリアで孤立します(実際はほとんどないです)。
精神的に楽チン
自分は今の部署では一番若手で、後輩もいないので、上から頼まれる事が多いです。
結構、急な依頼事項を平気で「明日まで」とか言う人がいます。
固定席時代は、ほんと頼みやすかっただろうな、と思いますが、今はフリアドなので、適度な物理的距離を置けます。そうする事で「頼まれる確率」を下げています(=依頼内容が「作業」であり、アウトソース感が半端ないので。。。)
自分の仕事に集中できる時間が以前より増えたように感じています。
これは自分にとってかなり大きなメリットです。
しかしこちらから用事がある際は積極的に自分から近づいて話かけます。
メールでの報告する事も多いですが、それでも、やはり重要度が高く、関心度が高い案件はある頻度で直接口頭で報告するようにしています。メールだけに偏ると、「会話」がなくなってしまうので。(フリアドにより会話レスが加速している部署はあると思います)
帰りやすい
「上司や先輩が残っているので帰りにくい」ってよくある心理状態だと思いますが、フリアドでは自由席なので、離席しやすくさっさと帰りやすくなりました。
未だに、「残業をしている」=あいつは仕事頑張っている。
という価値観の先輩はいると思います。定時で上がる=あれ?あいつは暇なのか?
的な事を実際に固定席時代に言われた事があるのですが、そのような意見の対策として、朝早くから仕事を開始して数字を上げる事で完全無視できている状況です。
(別に毎日定時で上がっている訳ではありません、残業、全然しています。
でも必要最低限に努めています、残業代出ませんしね。)
コストカットとしてのフリアド
最後に、コストカットについて。
自分のような営業職の人間は海外出張も多く長期間外出することも割と多いので、フリアドで確保している座席数は全従業員数に対し8割程度だったと思います。
そうする事でオフィス全体のスペースを縮小させ、結果、テナント賃料のコストカットを実現しています。
会社は都内でも有数のビジネス街に立地しているので、スペース縮小はさぞ賃料コストカットに貢献していると思われます。会社としてこの点が一番目に見えたメリットではないでしょうか。笑
いずれにせよ、新しい試みであるこのフリアド制を有効活用することに違いありませんので、気持ちよく働いて行きたいと思います!
おかず