おかずブログ 徒然なるままに

33歳男子。外資系商社勤務。適当に仕事の事とか書きます。

お客様は神様か?

「お客様は神様だ」とは勿論精神的な表現であって、当たり前だがお客様は人間である。人間だから良い人も悪い人も病的な人も世の中には色々な人がいると実感した事を書きたいと思う。

 

ある商品からの不適合品が発見されたとのことで、当該品購入者から申し出が入ったので、一度先方へ連絡してほしいと流通担当から連絡がきた。(本来ならば当該商品を店頭で販売した小売業者が窓口であるべき案件)先方は手が離せないとの事にて止むを得ずの対応だった。

そこで第一報、購入者への連絡。電話先でカンカンに怒っている。

「今日の夕方、自宅まで商品を取りに来い」との事だった。

この時点で通常ではないことは想像できたが基本的に初期対応が鈍ると誤認識・誤情報だけが拡散されるリスクが伴うので、予定を調整して対応することにした。

 

夕刻、指定された最寄駅まで到着。もう一度購入者への電話。

この時すでに日本語が聞き取りにくく、電話先の態度も依然として高圧的だ。

どうやら駅から自宅までの道順を説明している様だ。

自宅訪問に際しては単独での行動は場合により非常に危険なことから、必ず複数人で帯同する事にしているが、それでも先方の立腹した態度や口ぶりから今日は長くなりそうだと容易に推測できた。カンカンに怒っている人のもとへ歩を進めるのはとても辛い。また正直この時点で購入者が普通ではない事は間違いない。

 

自宅についた。そして(恐る恐る)入室。

先ず鼻をついた。アルコール臭だ。ああ、やっぱりそうゆう事か。

相手は既に酒帯状態だった。

 

そこから正座して1時間強だったか、先方から経緯説明とお説教を受けた。終始、お酒のお代わりをしながら。1秒でも早くこの場から去りたいという気持ちと、長時間の正座はきつい。とにかく先方は凄い勢いで怒っているので、相槌してはお詫びの言葉を並べる。相手の意見を否定したり反発するのは得策ではない。

やっと解放された。ああ、こうゆう時は録音機を鞄に忍ばせておくべきだなと、つくづく思った。

 

結論として相手は要するに悪質なクレーマーだった。

 

結局、その商品については正常品であった事がその後の分析により明らかになった訳だが、その日に浴びせられた数々の罵倒や精神的苦痛、拘束時間、本来の業務が停止した事、交通費、お詫びの品物代、等々 色々な想定外の出費となってしまった。

でも、この経験から得るものもある。

 

詳細はどうであれ、その人はその商品で不快な思いをしたのは事実だと思う。あれは演技で怒っているのではないと思う。

正直、本件につき論理的には謝る筋合いが全くないのだが、その怒りの矛先の役割としては紳士に対応し終始陳謝したつもりだ。退室する直前には少し怒りが沈んでいたことも確認できた。

 

この1時間強のお説教の中では、本件とは全く関係のない話が大半を占めた。

なんか、この人は本当はこの商品に怒っているのではなく、社会全体への不満を僕にブチまけている様に感じた。そしてその話を聞いて欲しかったのではないかと振り返る。

 

本件の様な対応は今後二度とするつもりはないし、その人には二度と会う事はないが、消費者があまりに自分自身の論理だけで言いたい放題な状況を強く感じる。

 

「お客様は神様」だと言い出した人のその真意は違う処にあると思うが、お客様は人間である事を肌で感じた体験だった。

 

おかず